この記事の参考文献:
『サクッとわかるビジネス教養 行動経済学』 新星出版社 阿部誠監修
目次
行動経済学=経済学×心理学
人間は必ずしも合理的な動物ではない
スーパーのほうが安いと分かっているのに、ついついコンビニで無駄なものを買ってしまうこと、ありませんか??
伝統的な経済学は、「人間は常に合理的な行動をする生き物」という前提のうえでの学問です。
しかし、実際の人間は往々にして非合理的な選択をとるため、経済学の理論だけでは、人間の行動を完全に説明しきれませんでした。
そこで、人間の心理や感情といった非合理的な側面に着目して、人間の消費行動を実践的に明らかにするために行動経済学は生まれました。
人間らしさの象徴:ヒューリスティック
ヒューリスティックとは?
ヒューリスティックとは、行動経済学の基礎的な要素であり、人間が瞬時に最適な意思決定をすることを可能にする思考プロセスのこと。
例えば、行きつけのカフェでメニューを選んでいるとき。多くの人は特に悩まず、なんとなくいつもと同じメニューを頼むと思います。
このように、深く考えず瞬時に意思決定を行うことをヒューリスティックと呼びます。人間は熟考し最も合理的な結論を出すとされている伝統的な経済学とは真逆の思考です。
過去の経験などをもとに直観的に答えを出すため、素早い意思決定ができる半面、損失につながることもしばしば。
こうした人間らしさを含めたより実践的な経済学を行動経済学では取り扱います。
実践編
ここからは実際の行動経済学の理論を、例とともに見ていきます。
人は同じ額でも、利益より損失を重く捉える!?
現時点で100万円で売却できる株をもっているとします。この株は、1年後、50%の確率で200万円の価値になり、もう50%の確率で0円になるとするならば、あなたはこの株を今売りますか?
多くの人は、売るという選択をとるのではないでしょうか?
しかし、数学的に考えると、どちらの選択も期待値は同じ100万円です。
例え50 %の確率で200万を得られるとしても、もう50%の確率で0円の可能性があるため、人はその0円を大きな損失と考え、損失を回避しようと考えます。これを損失回避性といいます。
得をする状況において、人はリスクを侵さず、確実に利益を得られる選択をします。
逆に既に損をしているような状況では、リスクをおってでもその損失を一発逆転できるような賭けに出がちです。ギャンブルなどが分かりやすいですね。
表現1つで与える印象を変えられる!? フレーミング効果
エナジードリンクの広告などでよく使われている、1000mgという表現がありますね。
意味としては1gと同じなのですが、小さな単位を使用するだけで、内容量が多く見えるという効果があります。
文脈に引きずられて、なんとなく印象を操作されてしまう、合理性を失ってしまうという現象です。
最初に提示された基準を軸に、値段の高い安いを判断してしまう!? アンカリング効果
みなさん一度は見たことがある、テレフォンショッピング。あの番組には様々な行動経済学の理論が詰め込まれています。
テレフォンショッピングでは、多くの場合、最初に提示した値段から2~3回値引きしますよね。最初から値引きした額を出すのではなく、最初は高めの値段を提示し、徐々に金額を引き下げていくというやり方をとります。
これは、最初に出した金額を基準として、値引き額分だけお得感を感じさせるためです。
同じ5000円でも、定価5000円と言われるより、7000円のものが5000円になったと言われたほうが、お得に感じ購買意欲を搔き立てられませんか?
損をすると分かっていてもやめられない!? サンクコスト効果
これまで費やした費用や労力を考えると、後にはひけなくなる人間の心理をサンクコスト効果といいます。
巨額の投資をした新規事業の結果が芳しくないとします。これまでの投資を無駄にしたくない、もったいないと考えてなかなか引き際を見極められないということはよくあると思います。
冷静に考えれば、これ以上の損失を出す前に撤退するのが合理的なのですが、やはり人間は必ずしも合理的判断ができるわけはないのです。
最後に
ここまで読んできていかがでしたか?
行動経済学とは、必ずしも合理的な選択をするわけはない人間の行動を実践的に分析する学問です。
様々な理論があり、日常的に使用できるようになると自分自身の非合理的な選択を避けることができるだけでなく、ビジネスにも役立つこと間違いなしです。
この記事では簡単に概要をお伝えしましたが、興味を持った方はたくさん本も出ていますので、ぜひ詳しく勉強してみてください!
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