フェルミ推定とは?
コンサル業界を目指す人なら誰しも一度は、フェルミ推定という単語を聞いたことがあるのではないでしょうか。
フェルミ推定とは、「日本にある電柱は何本?」「清涼飲料水の市場規模は?」といった、一見すると荒唐無稽な数量について、短時間で論理的に筋道をたて確からしい答えを概算するというものです。
身の回りにあるものでさっと概算するというニュアンスを込めて、封筒の裏(Back of Envelope)計算とも呼ばれています。
フェルミ推定は、限られた情報の中で、仮説を立て、一定のロジックに沿って答えを概算するものなので、身に着けることでケース面接対策以外にも、様々な面でみなさんの役に立つこと間違いなしです。
思考力強化として有用なのはもちろん、日々の仕事における新規事業の売上概算など、応用範囲は幅広いです。もちろん概算なので誤差はあります。しかし、何かを検討する際に、実際の数値についてざっくりの桁数などもわからないまま始めるのと、ある程度あたりがついているのでは、その後の検討の作業効率に各段に差が出るはずです。
荒唐無稽と思える数値でも、何かしらの答えを出すことができると、面白いと感じられるはずです。
ぜひ、フェルミ推定の世界を楽しんでいってください。
基本ステップ
フェルミ推定の基本ステップは、大きく分けて①前提定義、②アプローチ設定、③分解、④計算実行、⑤妥当性検証の5つになります。
この記事では、冒頭の「日本にある電柱は何本?」というお題について回答をしながら、フェルミ推定の基本の解き方について1から解説していきます。
前提定義
実際に問題を考える前の大前提として、お題の解釈をしっかり定めます。
今回のお題は「日本にある電柱は何本?」というお題なので、解釈の種類は少ないですが、明示すると以下になります。
・電柱とは電線を支えるためのコンクリートの柱のこと(対象の定義)
・電柱の数を求める範囲は、日本全国(対象範囲の定義)
このお題に限らず、実際に回答を考える前に、前提定義として、対象の定義、対象範囲の定義をしっかり行いましょう。そうすることで、この後のステップで何を求めようとしているかわからなくなる、、といった事態を避けられます。(ここで概算しやすいような前提を定義しておくこともケース面接対策としてはかなり重要なポイントです。)
アプローチ設定
前提がしっかり決まったら、続いてはどうやって解を出すかの方針をたてます。
具体的にいうと、「求めたいお題が答えとなるような式を考える」です。
お題の特徴から、何を軸にして答えにたどり着くかを決めることで、計算式を立てることができます。このステップでのキーワードは、「掛け算で横に分解」です。
今回の例題について、アプローチ設定を実施してみます。
電柱は各家庭に電力を供給しているため、日本全国に一定の間隔を保ちつつ存在する(場所によって間隔は変わるが、それは後続ステップで考慮)と考え、以下の式を策定することができます。
日本の電柱の数 = 単位面積あたりの電柱の数 × 日本の面積
この式を見てみていかがですか?
かなりざっくりとしていますが、間違いではない式ですよね。
(ここでは面積を軸として考えていますが、もう1つの案として、電柱は各家庭に電力を供給するため世帯数を軸に概算する方法もありかと思います。)
今回出したい答えを式で表すことができたらこのステップは終了です。
分解
アプローチ設定にて、超ざっくりの概算式を立てることができたら、次はその式を分解して、概算の精度を上げていく作業を行います。キーワードは「足し算で縦に分解」です。
今回の例でいうと、日本全国どこでも等間隔で電柱があるわけではないため、日本全国をざっくり山間部と平野部に分けます。(どこまで細かくするかは妥当性への影響と、与えられた時間を考慮して検討してみてください。)
日本の電柱の数 = 単位面積あたりの電柱の数 ×日本の面積
↓ ↓
平野部と山間部 ×平野部と山間部それぞれの面積
日本全国として考えるより、具体的に電柱の数をイメージしやすくなりましたね。
実際計算するにあたっての数値の妥当性を高めることができました。
次に、計算実行ができるように仮説を立てつつ、式の再分解を行います。
平野部では、50m四方に1本、山間部では200m四方に一本、平野部率は20%、山間部は80%として以下式を立てておきます。(今回は便宜上、分解のステップ内で実施していますが、実際には、この作業は計算実行のときでもやりやすい方で大丈夫です。)
平野部 = 1㎢あたりの数 × 日本の総面積 × 平野部率
+
山間部 = 1㎢あたりの数 × 日本の総面積 × 山間部率
計算実行
ここまで来たらいよいよ計算を実施します。
今まで作ってきた式に、実際に値を代入して計算をしていきましょう。
平野部: 400本 × 38万㎢ × 0.2 ≒ 3000万本
山間部: 25本 × 38万㎢ × 0.8 ≒ 760万本
日本の電柱の数 = 3000万 + 760万 = 3760万本
妥当性検証
最後に、出た値が妥当なものか、現実味があるものかをチェックします。
これはインターネット検索でもよいですし、ケース面接の際は感覚ベースになるかと思われます。
ただしフェルミ推定はあくまでも、解答の道筋に妥当性があることが一番重要なので、解答は、自分の考え方があっていたかどうかの1つの指標にすぎないということを忘れないでください。
めちゃくちゃな論理なのに答えが近いこともあれば、その逆もあります(仮定として置いた数字や割合が大幅に違っていた場合など)。
あくまで目安として、答えとの数値が1桁以内の誤差であればひとまず及第点かな、くらいに考えてみてください。
まとめ
実際にフェルミ推定の流れを見てみていかがだったでしょうか?
最初はどこから手をつけばわからなかったかもしれませんが、実際に使っている計算はすべて小学生でもできるような計算だったと思います。
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